Add 機械達のロマンス
2005年8月末発売の隔月刊行スニーカーに掲載された短編です。
2月ほどスケジュール的に辛いという記憶はありませんでした。
今回も、「長編未読の人にも分かりやすいように」というコンセプトで書かれています。そのためゼロから各種設定を説明しなおしです。話そのものを考えるより、「諸設定を必要十分な形で、序盤に、できるだけ自然に、掲載する」ことの方が大変だったりします。連載作品ならば「前回書いたから」であまり細かく書かずにはしょれる情報も、不定期連載なので毎回そこそこキッチリ書く必要があります。特にAddは設定が多いので大変です。ざっと考えても
「隕石病と悪魔の八年間」
「無機人と全身機械化人」
「ヒューマニズムとメカニズム」
「外数員」
「アフェクティッド」
これだけの要素を説明しながらかつ主要登場人物であるコウ・アイ・ミナあたりについてはそれぞれの簡単な前歴と略歴と所持能力を説明しなければならないのでえらく大変です。12月末の短編でもまたゼロからその辺説明しなおしています。……まったく、誰だ、こんな面倒くさい設定の話を考えたのは……一言でスパッと説明できる話つくれよな……(←馬鹿では、以下、登場人物解説です。
トノムラ(キムラ)=ミユキ、キムラ=カズヤ
一言で言えば「バカップル」。二言で言えば「見ててくどいバカップル」です。主観的な真面目さが客観的な真面目さに直結は必ずしもしない、ということを書ければ、と思って人物造形しました。物語終盤でキムラはかつてのキムラに「戻って」しまいますが、それは誰にとって誰にとって不幸なことだったのでしょうか。そして、ある日突然ふと愛情が冷めることは、彼らのような特殊な組み合わせに限った話ではありません。
トノムラ=コウゾウ
まあ、物語序盤の導き手なので、あまり性格設定などはしてません。ごく一般的な人のいい、それゆえに代々の土地も守れなかったおじさん、という感じで設定しました。
イイジマ=サヨコ、コウタロウ
キムラ夫婦とは対照的な標準的な「無機人・人間」間のカップルです。両親に祝福されない結婚、というのも別に無機人に限った話ではないですね。彼女達には幸せになってほしいとは思います。
オオカワ=シンゴ
今回名前だけの登場となった、ミユキの元婚約者です。できれば、ちょっとでも直接話の中に登場させたかったなあ、というのが心残りです。作中でも色々な人がその不幸を我がこと以上に悲しみ、行動を起こしてくれることからも分かるように、ものすごくいい人です。単なる善人ではなく、人の上にたつ資質を持った人です。そして、唯一の欠点はそのルックス、なんてこともありません。モデル並、とはいいませんが、かなりの美形です。「こんな人ととの婚約を解消するなんて、一体何が不満だったのか」というほどの完璧超人として設定しました。そうすることで理屈では分かっていても、受け入れられない。ままならない恋愛感情を描写しようと思っていたのですが、残念。どこかで再登場、できるかなあ。日本最大のゼネコンの次期社長なので、どこかで出せるかも、乞うご期待(ホントか?
あと、ちょっとレギュラーキャラについて
ミナヅキ=コウ
愛蔵版リグ=サーガを「トラップ」と理解してなお全巻購入に走ったその決断には、妙に親近感を覚えました。男には、明らかにどう考えても罠だと分かりきっていも、あえて突き進まなければならないときがあるのです(w
アマバラ=ミナ
短編を書く都度に、その能力の反則じみた性能に苦しまされます。というか、短編レベルの敵相手だと、この力だけでほぼ一蹴できちゃうんですよね。まあ、それを言えばマコトの能力は長編レベルの敵だろうと一蹴できてしまう論外レベルの反則度ですが。
どういう風にしてその力を封じるか、というところは腕の見せ所で、面白いところで、悩みどころだったりします。
アマバラ=アイ
この任務、アイには楽しかったのでしょうか。というか、実のところアイは結構毎回酷い目にあっているので、たまには彼女にも役得みたいなものを用意してあげたいのですが(殺人ホットドッグ以外で)、何が喜ぶのかなあ。
|